「ノベンバー」、東欧ダートラブストーリー!
おすすめ度 ☆☆☆
ポーランド・オランダ・エストニア合作
悪魔との契約、魂の代償 ──
目も眩む美しいモノクロームの映像美でその甘美な悪夢を描き、アカデミー賞外国語映画賞エストニア代表に見事選出された、東欧発ダーク・ラブストー。
ドイツの支配下に置かれたエストニアの寒村には、ドイツ人男爵とその娘の住む屋敷が立っている。いっぽう貧しい村の人々は、薄汚れた肌にボロをまとい、クラットと呼ばれる悪魔の使いと暮らし、日常的に悪魔や魔女と交流し、美女から白いヤギ(そして豚)へと姿を変える疫病をやり過ごし、キリスト教の教会へと通うのは御利益のためでしかなく、男爵家の使用人として働く者は日頃から盗みを働いている。
美しい純愛物語として昇華させるストーリーが見事だ。村の娘リーナは、村の若者ハンスに恋心を抱いているが、ハンスは美しい男爵令嬢に恋している。ハンスは使用人の手引きで屋敷に忍び込むと、令嬢の寝顔をこっそりと盗み見る。クリアーなモノクロ映像が映し出す白と黒の対比が鮮やかだ。暗く湿った農民たちの貧しい家や汚れた顔、悪魔の住む森、死者がよみがえる墓場など、暗い村の生活と真逆の、白い屋敷の清潔な暮らしぶり。ベッドの天蓋の白いカーテン、純白のシーツに身を横たえる白い肌の男爵令嬢。しかし彼女は夢遊病を患っており、恋する若者たちの物語は悲劇へ向かうが、それでも彼女たちの魂の美しさが、本作を純愛物語としているのだ。だが、リーナを一方的な悲劇にヒロインにせず、彼女もまた強かな村の娘であることを暗示させる思いがけないラストシーンも衝撃的だ。

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